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レポート

2013年04月13日「子ども・子育て関連3法のインパクト」

 現行の保育行政を根幹から構築し直します子ども・子育て関連3法について本日取り上げたいと思います。2013年に入ってから当社に寄せられる問い合わせで一番多く、皆様のご興味と関心がある分野と思います。複雑で流動的ですので、分かりやすくご説明いたします。

 日本全国の待機児童問題を考える時、対策は2つしか無く認可保育園を作り続けるか、または認可外保育を活用するかです。現在、自治体の予算は限りがあり、また現行制度に合う土地建物がほとんど存在しない昨今となると、次に打つ手は限られます。そこで平成24年の8月に自民・民主・公明の三党合意の下、幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援を総合的に推進することになりました。最速で平成27年4月施行されます。画期的なのは幼稚園の領域に踏み込んだことでしょう。従来の「認定こども園」を「総合こども園」として、文部科学省と厚生労働省の束ねる形で内閣府が総合こども園法を制定し、ほとんど普及が進んでいなかったこども園を政府が後押しをする形となりました。

 また、ポイントとなりますのは、従来学校法人や社会福祉法人のみに認められていた許認可が一定の基準を満たす株式会社やNPO法人にも設立を認めたことです。これは非常に大きな一歩と言えるでしょう。平成12年の法改正で民間企業の参入が認可保育園で認められましたが、一向に数は増えず主要都市で5%以下(当社調べ)の参入状況と言う散々な結果であり、政令市の20%前後の導入率を見ますと国の後押しが必須と言えます。法制度も株式会社などの組織には不利な制度となっており、普及しない一つの理由と考えられていました。

 政権は変わりましたが、内閣府が引き継ぐ形で自民政権で現行の状態に近い形で施行される可能性が高くなってきました。この財源は既におさえられており、消費増税の時に0.7兆円がこの制度に振り分けられます。年始のレポートでも述べておりますが、日銀の追加緩和と物価インフレ率2%の動向を見ますと夏の参院選で自民党が圧勝する可能性は非常に高く、このまま円安・株高・不動産高が続けば年内に増税の判断がされ、万が一先延ばしされても数年以内には財政規律の健全化を考慮しますと消費増税は必須と言えますので、外部環境は整いつつあります。

 子ども・子育て関連3法は「こども園型」と「地域型」に分かれ、一定の基準に似合う施設を許認可する形で運営補助金が助成されます。政府は強制はしませんが、多くの既存認可保育園と認可幼稚園が「こども園型」に移行することが想定され、稼働率の低い幼稚園の空きスペースが保育スペースに生まれ変わり、待機児童問題の根本的な解決の一端を担うことが予想されています。現行認可外保育園は地域型の「小規模保育事業」に選定・移行されることが想定され、今後は市町村の認可事業とし財政支援の対象になります。この為、市町村に許認可を受けることが重要であり、運用実績で許認可を受ける可能性が過去の傾向で強いので平成25年と平成26年がラストチャンスとなります。

 当社でも複数のシナリオを想定してユーザ対応をしていますが、本法案施行後、保育園は全て許認可制となり基準を満たさない施設は営業を許可されなくなり、これまでの保育行政が根本から見直されます。現行保育園は施設設計の抜本見直しは必須で残された時間はあとわずかです。保育園経営は次世代のフェーズに入ったとフランドルは考えています。これから施設を設立する方は完璧な施設設計と戦略的シナリオが今求められています。(執筆時点の情報により作成)

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